top of page
検索

Vol.12_日本の内視鏡技術を、世界の現場へ。MINLABOクリニカルフェロー 松井寛昌医師、欧州へ渡る

更新日:5月7日



目次


はじめに


MINLABOには、臨床とビジネスの両面で活躍する専門家が集まっています。今回ご紹介するのは、消化器内視鏡を専門とし、MINLABOクリニカルフェローとして活動する松井寛昌医師です。


2025年春からは欧州で、内視鏡技術の“伝道者”として現地医療に貢献されます。MINLABOは、医療専門職がチームにいることで、市場のインサイトをより深く探索できる体制を整えています。


「こんなメンバーが自社にいたら——」と思える、松井医師の挑戦と情熱をご紹介します。


松井医師について


消化器内科医としてのキャリアを積み上げてきた松井医師は、現在39歳。日本国内の主要病院にて、数多くの内視鏡治療に携わり、後進の指導にも尽力してきました。MINLABOでは、医療現場のリアルな知見をビジネスに還元する“MINLABOクリニカルフェロー”として参画しています。


*MINLABOでは、ビジネスと臨床の両面で活躍するメンバーを「フェロー(fellow)」と呼んでいます。これは“フェローシップ(fellowship)”を起源とするもので、専門性と実践力を兼ね備えた仲間たちがチームとして協働するスタイルを象徴しています。



欧州で内視鏡を伝えるという挑戦


日本発の高度内視鏡治療「ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)」は、早期消化管がんを低侵襲で根治可能にする画期的手技です。日本では標準治療として定着していますが、欧州ではまだ発展途上です。


松井医師は北欧の首都にある医療機関に2年間滞在し、ESDの技術指導と治療に携わります。これは単なるスキル移転にとどまらず、欧州の患者に「より安全で低侵襲な治療選択肢」を届ける挑戦でもあります。こうした臨床技術の“輸出”には、多くの壁も立ちはだかります。文化や言語の違いはもちろん、医療制度や患者ニーズの違いも無視できません。


スウェーデンでESD普及に尽力された港洋平医師(NTT東日本関東病院)は現地のESD、医療レベルについてこのように語っています。



「やっぱり未成熟な部分はあると感じました。日本はいわゆる職人芸、師匠弟子という文化があって、ステップアップしながらやってく部分があるけど、現地ではいきなりやらせろという感じの人が多い。それと、僕がESDやってきたのは2年かもしれないけど基礎は身に付けてきているわけで、その差もあったと感じました。ただそれは日本とヨーロッパの先生たちの差なのか、大圃先生の下にいた自分が身に付けたものと彼らの差なのかまではちょっと分からないです。」

【引用:m3.comスペシャル企画 海外に通用するための技術を磨くには?】


またスウェーデンのカールスタード中央病院で2021年6月から2023年5月まで2年間、ESDの導入・指導を目的に、内視鏡専門医かつEducatorとして勤務された宮本秀一先生(北海道大学内科学講座消化器内医科学教室)はこう語ります。

「自身が学んできた日本の内視鏡技術・教育を用いて、他国の患者さん達を救えるという大きな喜びを感じることができた2年間でした。世界をリードし続けている日本の内視鏡技術ですが、内視鏡教育の面でも依然強く求められていることを強く感じました。今回の経験で学んだことを活かし、諸先輩が日本中そして世界中に普及してきた日本の内視鏡技術を、次の世代としてさらに広めることができるように邁進したいと思います。」

【引用:JGES公式サイト】


松井医師の挑戦は、単なる個人のキャリアを超え、日本の内視鏡技術を世界に届ける一歩。その歩みは、未来の医療を確かに変えていくはずです。



留学への想い ― 不安・期待・そして責任


いよいよ目前に迫った欧州留学。その胸中には、松井医師ならではの複雑な感情が交錯しています。

「今は不安もあります。でも、ようやくスタートラインに立てたという安堵感の方が大きいですね」

もともと1〜2年前から「いつか海外で臨床に挑戦したい」という想いを温めてきた松井医師。国内外の先輩医師たちへの相談を重ね、自ら動き、タイミングを見極めたうえで今回の留学に辿り着きました。

「地道に努力してきたことが、ようやく形になった」

と語る背景には、専門医としての経験に加え、学位取得など書面で示せる成果へのこだわりもありました。

「臨床医として他国の患者の治療に直接関わることができ、他国の医師、スタッフと共に医療の発展に携われるという、やりがいを得られることが、何より嬉しい」

と語るその表情には、確かな自信がのぞきます。



現地医師への指導、そして“教える”ことへの挑戦


今回の留学では、単なる技術提供だけでなく、教育者としての役割も求められます。

「まずは現地の医療体制や技術レベルをしっかり理解し、その上で必要なサポートを届けたいと思っています」

指導スタイルとしては、患者の横で内視鏡を操作しながら実地で教える“二人羽織”的な直接指導に加え、書籍や動画を活用した“間接教育”にも挑む予定とのこと。ネットを活用した教育にも関心があり

「より多くの人に伝わる方法を模索したい」 「自分が現地から学び、持ち帰るものも大きいはず」

と松井医師は語ります。医療制度や教育手法の違いに触れ、それを自らのスキルアップに繋げていく姿勢は、まさに“教えることで学ぶ”国際医療の醍醐味そのものです。



テクノロジーとの共存 ― AIと専門医の未来


近年、急速に進化するAI技術。内視鏡診断の現場においても、その存在感は日に日に増しています。

「画像診断との相性という意味で、内視鏡とAIは非常に相性が良いと考えています。すでに一部の領域では、非専門医よりもAIの方が優れた精度を出すという考え方もあります。とはいえ、AIが診断を下す時、最終的な責任をどう担保するかといった課題もまだ残ります。」 「教育現場におけるAI活用についても、まだまだ研究の余地がある。テクノロジーとどう共存するか。その問いと向き合いながら、自分自身も進化していきたい」

その言葉には、未来の内視鏡医療を見据える視点と、変化を恐れず進む覚悟が込められています。



参考情報:2018年6月から2024年6月までに公開された生成AIの診断タスクに関する研究83件を対象とした系統的レビューとメタアナリシスが公開されています。


日本の医療ビジネスの一つの姿


松井医師の挑戦は、日本型の課題解決モデルの一つとして注目できるのではないでしょうか。日本国内の医療は水準が高く、課題は残るものの、どこでも標準治療を受けられる体制が整っています。一方で、世界には医療制度や医師の技術・教育がまだ十分でない国や地域も多く存在します。


そうした状況に対して、日本の医師やメディカルスタッフと先端技術を“パッケージ”として世界に送り出す戦略は、社会貢献としてもビジネスチャンスとしても大きな可能性を秘めているかもしれません。また、そこにAIなどのITテクノロジーによるサポートは欠かせないはずです。


MINLABOチームだからこそ、世界に届けられる


MINLABOチームには、臨床の専門家とビジネスの専門家、2つの力があります。医師や看護師、薬剤師、介護士といった現場の専門職と、事業開発や営業、プロダクト設計、法務・知財のプロが連携しています。専門性を尊重し合い、補い合う協働のかたちを「フェローシップ」と呼び、メンバーを“フェロー”と称しています。


「最前線で活躍する医師が、あなたのチームにいたら」

松井医師の挑戦は、MINLABOのビジョンを体現しています。現地で治療と教育を行い、日本の技術と志を世界へ届ける。私たちは、国境を越えて医療に貢献する第一歩を踏み出しています。



お問い合わせ Mail:sales@minlabo.co.jp

執筆者 ・インタビュアーMINLABO 三原義久











MINLABOについて



MINLABO合同会社はヘルスケアの問題に徹底的に向き合い、ソリューション開発に特化したチームです。

Mission:顧客の成功にコミット!価値を創造し届ける

Vision:日本から世界のヘルスケア問題を最短距離で解決する

Values:柔軟な組織体制と高い志に基づく結束力。顧客の成功に拘るエキスパート




 
 

©2024 MINLABO LLC

bottom of page