
はじめに
MINLABOインサイトではヘルスケア業界に巻き起こる様々な課題について深堀をしていきます。今回は2月3日~5日に開催された介護系展示会のCare TEXへ現地調査を行った内容をまとめています。
CareTEX概要
CareTEX(ケアテックス)は、介護業界における日本最大級の商談型展示会であり、介護用品・設備・リハビリ機器から先端技術・介護レクリエーションまで、介護施設で役立つ新商品・サービスが一堂に展示されています。来場者数はおおよそ3日間で15000人程と予想され、介護関係、医療関係者を中心に構成されています。
出展企業の傾向と考察
介護用品・福祉機器関連
車椅子、介護ベッド、リフト、歩行補助具などを扱う企業が多く、介護現場での利便性向上を目的とした製品の充実度が高い。特に、高齢者の自立を支援する機器や、介護負担を軽減する福祉用具が目立ちました。
デジタルソリューション・業務支援ツール
SmartHRやfreeeといったクラウド型の業務支援サービスや、電子カルテ・記録システムなどのデジタルツールが増加。DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した業務効率化が進んでいます。
食品・介護食・栄養関連
介護食品、嚥下食、栄養補助食品を提供する企業も一定数出展。介護施設や在宅介護における食事支援の重要性が高まっていることがうかがえます。
建築・施設設備・介護環境改善
バリアフリー改修、入浴設備、エレベーターなどを提供する企業が複数出展。介護施設の環境改善を目的とした設備導入が進んでいます。
リハビリ・運動機器
介護予防や健康寿命の延伸を目的としたリハビリ機器・運動機器が増加。特に、QOL(生活の質)向上を目指した技術が注目されています。
介護人材関連・採用支援
介護業界の人材不足を背景に、採用支援や教育・研修サービスを提供する企業の出展が増加。特に、外国人介護士の受け入れや育成に関するサービスが目立ちました。
ICT/DXの市場機会
昨年の介護報酬改定で「生産性向上推進体制加算」が新設されたことも影響し、介護業界におけるDXやICTの導入が加速しています。法人側の関心も高く、介護ソフトや見守りシステム、インカムなどの機器の導入が着実に進んでいるといえるでしょう。
一方で、介護業界は他産業と比べて働き手の平均年齢が高く、特に小規模事業所では60歳以上の介護職員も少なくありません。そのため、ICTに対して抵抗感を持つ職員も一定数おり、新たなツールを導入する際には、ハイタッチで丁寧に進めることが成功の鍵となります。
市場競争環境における懸念材料
DX/ICTにおける市場機会は膨らんでいることは事実としてありますが、既に領域が概ね固定化されており、実力派から新興企業まで多様なプレイヤーがひしめき、玉石混交の様相を呈しています。
AIやテクノロジーの進化により、年々プロダクトは進化し、細かな差別化が図られてはいるものの、顧客側からすると商品選定の難易度が上がっているともいえます。
さらに、ITリテラシーの向上速度とプロダクトの進化速度にギャップが生じ、使いこなせず結局業務負担が増えることに繋がりかねません。
どれだけ顧客に寄り添い、シンプルにできるか
介護現場の職員のITリテラシーには大きな差があり、高度な機能を備えたツールであっても、実際に現場で活用できなければ意味がありません。
まずは顧客が実際にITツールをどれほど使うことができるのか、生の声を聞くことから始めるとよいでしょう。スマホは使えるけれどPCは苦手としている方も珍しくはありません。
わかりやすく、徹底的にシンプルに、機能は複雑化させないことが良しとされることもあります。
技術の進化だけでなく、現場の実態に寄り添ったサービス提供が、今後の介護DX市場での成長と差別化の決め手となるでしょう。
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執筆者 山本快仁:MINLABO

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