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執筆者の写真MINLABO team

Vol.5日本における介護の課題と北欧事例からの学び






はじめに


MINLABOインサイトではヘルスケア業界に巻き起こる様々な課題について取り上げていきます。日本は超高齢社会を迎え、医療同様に介護需要が大きく伸びています。そうした背景もありMINLABOでお付き合いする企業様の向き合う領域としても増えている印象を受けています。今回は皆様のご関心の一助になればと思います。

それでは日本における介護の実態と福祉大国といわれる北欧フィンランドの事例から質の高い在宅介護を実現する糸口を探っていきます。

 

日本の介護市場の現状


高齢化が進む中で介護サービスの需要が急速に増加しています。特に75歳以上の高齢者や認知症患者の増加が顕著で、介護保険制度のあり方についても議論が進んでいます。


高齢者人口の増加: 65歳以上の被保険者数は、2000年から2022年までに約1.7倍に増加し、3,589万人に達しています。また、要介護・要支援認定者数も3.2倍に増え、2022年には約690万人が認定を受けています。


サービス利用者の増加: 在宅サービスの利用者数は約4.2倍に増加し、2022年には407万人が利用しています。施設サービス利用者数も約1.8倍に増え、100万人目前となっています。


介護保険給付費の増加: 介護保険給付費と地域支援事業の費用は年々増加しており、2020年度には総額が約10.2兆円に達しました。

 

介護市場の課題


日本の介護市場は高齢者人口の増加とともに拡大していますが、介護職員の不足や認知症対応の強化、財政面での持続可能性の確保など、多くの課題に直面しています。


  1. 介護職員の不足:

    2023年度には約233万人、2025年度には約243万人の介護職員が必要とされ、2040年度には約280万人が必要となり、60万人の介護職員不足が予想されています。


  2. 認知症患者の増加:

    認知症を抱える高齢者の数も増加しており、2025年には約675万人、さらに2030年には約744万人に達すると予測されています。これに伴い、認知症に対応できる介護サービスの整備が求められています。


  3. 費用負担と財源確保の問題:

    介護サービスの需要が増加する中で、保険給付費やサービスの質の向上をどのように持続可能にするかが課題です。


  4. 地域間の格差:

    都市部では介護サービスの需要が高く、地方との格差が存在します。地域に応じたサービスの確保と、サービス提供体制の整備が求められています。


 

フィンランドヘルシンキ市の取組み事例:遠隔介護

  1. 遠隔介護の背景と目的:

    ヘルシンキ市は人口約63万人の都市伝説であり、高齢化と介護職員の不足に直面しています。これを解決するためにテクノロジーを活用した遠隔介護を導入しました。その結果軽度の要介護者や要支援者に対して、限られた介護リソースをより効率的に配分し、重度の要介護者や認知症患者に対する支援が強化されました。


  2. 具体的なサービス内容:

    1. 安心電話サービス: 利用者がアラーム付きのリストバンドを装着し、必要時にコールセンターへ連絡。必要に応じて救急対応や看護師の訪問が行われる。

    2. ビデオ通話: 服薬管理、健康状態の確認、オンライン食事会、運動プログラムなどを通じて高齢者をサポート。

    3. 投薬管理: 遠隔での服薬支援システムにより、訪問介護の回数を削減し、効率的な介護資源の運用を実現。


  3. 遠隔介護の成果と影響:

    2019年には遠隔介護の導入により、ヘルシンキ市で約12億円のコスト削減を達成。また、訪問介護による車の利用が減少し、環境負荷も軽減されました。


  4. 今後の展望:

    遠隔介護の需要はコロナ禍を経て増加しており、さらなる技術革新が期待されています。ヘルシンキ市では、AIによる健康状態の予測システムの導入も予定されており、介護の効率化が進む見込みです。ヘルシンキ市の遠隔介護は、テクノロジーを活用して高齢者の生活を支え、介護リソースの最適化に成功しています。



 

ヘルシンキの事例から日本が学ぶこと


  1. テクノロジーの積極的な導入と拡大

    遠隔介護の普及: 日本でも、在宅介護をサポートするために、ビデオ通話や服薬管理システムなどのテクノロジーを導入し、軽度要介護者の遠隔ケアを推進します。これにより、軽度の利用者への対応を遠隔で行い、重度の利用者に必要なリソースを集中させることが期待できます。


  2. コスト削減と効果的な介護資源の配分

    訪問介護の効率化: ヘルシンキ市では遠隔介護によって訪問回数を減らし、1回あたりのコストを大幅に削減しています。日本でも、訪問介護の一部を遠隔介護に置き換えることで、介護職員の負担を軽減し、コスト削減を実現することが期待できます。


  3. 多職種連携と包括的ケアの強化

    医療・福祉の連携強化: 医療・福祉の連携強化のため、ヘルシンキ市ではビデオ通話を活用して看護師や医師が患者をサポートしています。日本でも、多職種連携を強化のために、テクノロジーを介して医師、看護師、介護職が協力する体制を作ることで、在宅ケアの質を向上させることが期待できます。


  4. 介護人材不足への対応

    テクノロジーでの補完: 日本も介護職員の不足が深刻化していますが、ヘルシンキ市のようにテクノロジーを活用すれば、限られた人材を効率的に活用できます。特に、遠隔でのモニタリングやサポートを導入することで、現場の介護職員の負担を軽減し、人材不足の緩和につなげることができます。


    テクノロジーを活用して効率的かつ質の高い介護サービスを提供し、介護問題に対応していくことが将来の日本を支える一手と言えます。

 

参考資料




 

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執筆者 山本 快仁:MINLABO/中小企業診断士













 

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