Vol.13_データドリブン_バイオ・再生医療市場を読み解く
- MINLABO team
- 6月2日
- 読了時間: 5分
更新日:6月3日

目次
用語解決
再生医療市場を6つの視点で要約
データで見る再生医療市場の趨勢
再生医療市場向けビジネスを10の評価軸(5段階評価)
第24回日本再生医療学会総会から考察
ベンチマーク事例
はじめに
数あるヘルスケア市場の中でも特に注目度が高い分野が、「バイオ」「再生医療」分野です。MINLABOでは、再生医療を非専門家の立場でビジネスチャンス、またはリスクがあるか?という視点で解剖してみました。
用語解決
CAGR(Compound Annual Growth Rate):ある期間の年平均成長率。
GMP(Good Manufacturing Practice):医薬品等製品の製造品質を保証する国際ルール。
CDMO(Contract Development & Manufacturing Organization):製薬・再生医療企業から開発や製造を受託する専業企業。
CPC(Cell Processing Center):細胞を無菌環境で加工する専用施設。
AI/MES(Manufacturing Execution System):AI 解析を組み込んだ製造実行システム。
HTA(Health Technology Assessment):医療技術の価値を医学的、経済的、社会的な側面から総合的に評価するプロセス。
再生医療市場を6つの視点で要約
市場・成長率:約3.5兆円市場、年20%増でジワジワと拡大続く
参入企業の傾向:装置・物流など周辺業種が次々と集結
成功パターン:大学発技術×資本×拠点連携で早期臨床
課題:人材不足と物流ボトルネックなど実商流としての発展
チャンス:自動化・低温輸送・教育などサプライチェーンの各所に機会
リスク:高額療法で保険償還遅延懸念と規制変更
データで見る再生医療市場の趨勢

再生医療の市場はすでに約3.5兆円と大きく、毎年20%近く伸びています。ロボットやAIによる自動化、高齢化による需要増、国の特例承認制度が追い風。一方、絶対的な大手はおらず、細胞工場や超低温輸送などの仕組みもまだ不足気味。そのため、設備や物流をまとめて提供する“ワンストップサービス”や、価格・データを見える化するサービスの市場成長が期待できます。機械の自動化、低温物流、GMP対応コンサルなどスペースを埋める企業や投資が狙い目です。国の補助金も活用しつつ、データでしっかり判断すれば、早く動くほど有利になります。
※各種統計データ、外部データを参考にMINLABO独自に算出しています。
再生医療市場向けビジネスを10の評価軸(5段階評価)
MINLABOでは再生医療市場を独自の評価基準で下記の様に評価しました。総じて高いポイントをつけています。大手に限らず、中小企業でもこれからヘルスケア産業にチャレンジする市場として魅力的です。
解説
再生医療は3.5兆円規模へ拡大し、年20%前後で安定成長(5・3点)。細胞加工の自動化やAI管理など新技術と、高齢化・条件付き承認制度の追い風が合流(4・4点)。寡占度が低く周辺業種の参入余地が大きい(4点)。既存治療が不足し需要が強い一方で、資源分散とサプライヤー探索、人材確保が壁(3・4点)。価格やデータの透明性も未整備(3点)。ゆえに自動化インフラ、低温物流、GMP教育・データ可視化サービスが有望ビジネスとなります。

第24回日本再生医療学会総会から考察
出展社159社の分析から見る傾向
2025年の日本再生医療学会に出展した159社の企業データを基に、再生医療市場におけるビジネスチャンス、資金が集まりやすい領域、ターゲット市場、産業構造の示唆について包括的に分析と、出展企業は再生医療のエコシステムを構成する多様なプレイヤーが参加していた。研究支援製品、サービス企業が40%を占める。まだまだビジネス化に向けた研究開発段階にある市場だと読み取れます。

ベンチマーク事例
オリヅルセラピューティクス株式会社(Orizuru Therapeutics, Inc.)
ご存知の方も多いかもしれませんが、オリヅルセラピューティクス株式会社は、2021年設立の京都大学発ベンチャーで、湘南ヘルスイノベーションパーク(Shonan iPark)に拠点を構えています。武田薬品と京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の共同研究「T-CiRA」で培われたiPS細胞技術を活用し、心筋細胞(iCM)や膵島細胞(iPIC)の再生医療製品を開発中です。iPIC(OZTx-410)は、2024年10月に第1/1b相臨床試験が開始され、2025年2月に最初の患者への移植が完了(同年4月公表)。iCM(OZTx-556)は、現在前臨床段階にあり臨床入りを計画中。さらに、疾患特異的iPS細胞やオルガノイドを活用した創薬支援事業も展開。Axcelead社との連携で創薬支援サービスを提供しています。資金調達では累計100億円超を達成し、大学系ファンドや製薬企業、金融機関など複数の主要投資家から支援を受けています。期待の企業です。
ヒントは、大学発技術+大手の資本+PoCや臨床試験で協業“3点セット”でリスク分散しながら、実臨床に向けてチャンスを獲得している点かもしれません。
※同社の公式サイト、プレスリリース、ニュース記事、展示会の発表内容などを参考に当社が独自に整理・分析したものです。当該企業とは資本関係・業務提携関係はなく、記載内容について事前の確認・承諾は得ておりません。
まとめ
再生医療分野は日本が世界に優位な状態を作れている、数少ない産業の一つと言われています。バイオ市場全体の中のインパクトはまだ小さいですが、技術的なリードはむしろ再生医療が牽引していると言っても過言ではありません。一方でまだまだ産業として不確実性が高い点はリスクでしょう。サプライチェーンを読み解いても、単独で成立する様なビジネスモデルにはなり難いと考えています。いかにパートナー企業を見つけて勝ち筋を見出すか?が重要なポイントです。

本記事の詳細内容です。下記よりダンロードできます。
要点
市場の見通し
日本再生医療学会から考察する参入企業傾向
企業事例:オリヅルセラピューティクス株式会社
再生医療分野の治療選択
参入のチャンス
Playbook版のご案内
お問い合わせ Mail:sales@minlabo.co.jp
執筆者 ・インタビュアー:MINLABO 三原義久

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